こんにちは。編集部です。
編集部には、元プロテニスプレーヤーと管理栄養士が所属していて
運動×食事について話が盛り上がったので、今回このような記事を書いてみようと思いました!
今回から全3回、運動しているこどもの“食”についてお届けします。
第1回 日常の食事編
第2回 運動時の水分補給編
第3回 大会前後の食事編
第1回目は 運動しているこどもの「日常の食事編」です!
今回のポイントは2つ
① 必要なエネルギー量はどのくらいか
② 補食(間食)のタイミング、内容についてみていきます。
元スポーツ選手の高校時代の1日の食生活をモデルにして
それぞれのポイントを見ていきます。
~モデル紹介~
江口実沙(ウィキペディアにも掲載されてます!!)
元プロテニス選手、全日本チャンピオン。
グランドスラムにも出場(2017年全米、2018年全豪)
8歳からテニスを始めた
2018年10月に26歳で引退
〜高校時代の江口さんの一日のスケジュール〜
■平日
6:30 起床、朝食
(6枚切り食パン1枚+ヨーグルト)
7:15 学校出発
10:30 補食(おにぎり中1個)
12:15 昼食(手作りお弁当)
15:30 学校終了
16:30 補食(おにぎり中1個)
17:00〜21:00 練習+トレーニング
21:15 帰宅
21:30 夕飯
(お母さんの手作りご飯+アイスクリーム(ほぼ毎日))
22:00 お風呂
22:30~23:00 就寝
炭水化物も大好きでご飯はいっぱい食べていました!
高校生の時は、とにかくお腹がすいたという江口さん。
補食も合わせて食事を5回行っています!5回は果たしていいのか!?
江口さんの1日を例にして詳しく見ていきましょう。
① 必要なエネルギー量はどのくらいか
サッカーや野球、テニスなど、スポーツに打ち込むこども支えるのが、毎日の食事です。
どんなにテクニックを磨いたとしても、栄養が不足した状態では運動パフォーマンスが落ちるだけでなく、
成長にも影響しかねません。
1日3食バランスのよい食事をとることが基本ですが、
食事だけで必要な栄養を補いきれないときは、補食(間食)で上手にカバーすることが大切です。
江口さんの1日の食事のエネルギー量を大まかに計算してみると・・・
朝食 400kcal
昼食 700kcal
夕食 700kcal+アイスクリーム200kcal
補食 おにぎり2個:500kcal お菓子:300kcal
1日の合計 2800kcal(おおよそです)
まずは、1日に必要とされるエネルギー量を考えていきます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(図1)では、
年齢や性別ごとに、1日あたりに必要と推定されるエネルギー量が示されています。
図1 【推定エネルギー必要量(kcal/ 日) 】
※身体活動レベル・・・Ⅰ:低い Ⅱ:普通 Ⅲ:高い
スポーツクラブなどで活発に体を動かしているこどもであれば、身体活動レベルIIIに当てはまります。
食事だけではエネルギー不足になりやすいので、1日のトータルで考えて、補食の活用が重要なポイントになります。
江口さんの場合でみてみると・・・・・
高校生女性(15~17歳)で、運動をしているので身体活動レベルはⅢ
よって、エネルギー必要量は 2550kcal となります。
テニスの運動量を考えると、江口さんのエネルギー量は理想的であると考えられます。
食事で足りないエネルギーを補食で補えたとしても、栄養に偏りが出てはNG。
丈夫な体をつくってしっかり動かすためには、エネルギー量だけでなく、
栄養バランスにも気を配ることが大切!
理想は、体をつくる「たんぱく質」、エネルギーになる「脂質」や「糖質」、
体の調子を整える「ビタミン」や「ミネラル」の5大栄養素がそろった補食。
栄養素はそれぞれ助け合って作用するため、ひとつでも不足すると体の不調につながりやすくなります。
とはいえ、5大栄養素がそろった補食を用意するのはなかなか大変です。
次に補食について見ていきます。
② 補食(間食)のタイミング・内容
昼食を食べてから時間が経って空腹の状態では、集中力や体力が低下しやすくなります。
そこで上手に活用したいのが、練習前後の補食です。
できれば、練習が始まる1~2時間前くらいのタイミングで、
おにぎりやバナナなど、炭水化物を多く含んだ補食でエネルギーをチャージします。
練習まであまり時間がない場合は、100%果汁飲料やゼリー飲料など、
消化がよく体に負担が少なく、エネルギーになりやすいものがおすすめです。
練習が終わってから夕食まで時間が空いてしまう時は、運動後45分以内に補食を摂ることが理想的です。
サンドイッチ、牛乳、ヨーグルトなど、炭水化物とたんぱく質を含む食品を組み合わせましょう。
運動後、補食を摂る理由は、※筋肉の疲労回復が早くなると考えられているためです。
※筋肉の疲労回復・・・運動により消費された筋肉中のグリコーゲンを炭水化物で補給し、
それと同時に分解された分のタンパク質を摂取する。
しかし、練習後の補食を食べ過ぎると、夕食が食べられないケースもあるので
時間を考えて量を調整しましょう!
江口さんの場合、練習前に炭水化物である“おにぎり”を食べエネルギーチャージをし、
練習後30分で夕飯を食べていたので、間食・食事のタイミングとしては理想的です!
しかし、間食でグミやチョコレートなどのお菓子を食べています。さらに、夕食後にアイスクリームをほぼ毎日・・・・
適量であればお菓子などの間食は悪いことではないと思いますが、
お菓子で摂るエネルギーを、ご飯の量などで調節を行い、
無駄な間食をしないように工夫することも必要だと思います。
【補食(間食)のポイントまとめ】
・運動1~2時間前 ・・・炭水化物を多く含んだもの(おにぎり、バナナ)
・運動前時間がない時・・・消化がよく体に負担が少ない炭水化物(100%果汁飲料、ゼリー飲料)
・運動後45分以内・・・炭水化物+たんぱく質(サンドイッチ、牛乳、ヨーグルト)
こどもは、日常の活動のエネルギーに加え、成長するためのエネルギーが必要と考えられます。
運動しているこどもは、それに加えて運動で消費するエネルギーも食事から摂ることを心がけましょう。
競技力向上のために食事は基礎となるため、普段の練習と同様に日々の積み重ねが重要となります。
運動量に見合った食事量と、偏りのない食事内容、適切なタイミングでの栄養補給ができるように心がけましょう!
次回は、第2回 “運動時の水分編”です!